エンコのーと
浅草で生まれ育ち、または、祭りと人が好きな方に書いて頂いてます。

第 3 回
第 2 回

第 一 回

 墨堤の満開の桜も散り、町には、下町に初夏の訪れを告げる「祭り」のポスターが目に付く様になった。
 風薫る5月も、もう目の前だ。中学時代、学校のすぐ側に、「蔵前国技館」があった。 5月場所ともなると、ヤグラ。のぼり旗が立ち、それに、焼き鳥やかば焼きの何とも言えない臭いが 蔵前通りを隔てて臭って来たものだ。

 浅草っ子にとっては、季節感は、自然ばかりではなく、 そんな中から、感じ取ったものだった。それは、また、浅草っ子にとって「三社祭」の到来を告げるものだった。
 今日まで1376年の浅草の歴史の中で、三社祭は、今年で692年を迎える。浅草の総鎮守・浅草神社例大祭であるそれは、21世紀を迎えてなお、その伝統が脈々と受け継がれ、 人気、規模、どれを取っても他の追随を許さない。
 職住が一致し、庶民信仰のルーツでもある浅草寺を頂いた、浅草ならではのお祭りと言えるだろう。 それを支える浅草っ子たちは、まさにガキの頃から祭りにどっぷりつかり、それが原風景となって、 今日の繁栄を築き上げている。  
 昨年は、江戸、東京じゅうが「江戸開府400年」に沸き返った。あえて、エンコのオレたちは、 こだわりたい。江戸っ子よりもはるかに歴史が長いのだから…。
  祭りは、浅草っ子のステータスであり、神輿を担ぐことで世代を超え、町が団結する。今年の三社祭まで一ヶ月を切った。2年前から始まった、氏子による「宮出し」という新しい 歴史的転換点も、東部、西部、南部と一巡する。浅草っ子が浅草っ子でいられる、もっと相応しいその興奮と瞬間に向け、オレたちは、正直、 浮き足立っているが、天下に恥じない勇壮な渡御をお見せしなければなるまい。 さて、今年の三社祭は、…。乞う、ご期待!!